Varifocal Lens | バリフォーカルレンズ

SIGMA 120-300mm F2.8 DG OS HSM このレンズのテレ端側はズーミングで驚くほどピントが動く

バリフォーカルレンズ

日本語では「バリフォーカルレンズ」の事を「可変焦点レンズ」と呼んでいる。 「可変焦点レンズ」だからズームレンズの事かと言うと違うんですなぁ。 定義としては、焦点距離を変更した際にピント位置が移動しないよう設計してあるのがズームレンズ焦点距離を変更した際にピント位置が移動してしまうのが可変焦点レンズなのである。

この SIGMA 120-300mm F2.8 DG OS HSM はテレ側での焦点位置変動が激しいレンズで、『これぞバリフォーカルレンズ』って感じだぞぉ。

左はFL=300mmで合焦させた写真で、右はその状態でFL=250mmにした写真
ズームレンズを設計する際に、焦点距離を変化させてもピント位置が変動しない様にズームカムを計算していました。 設計の都合から「どうしても」ピント位置が変動してしまう場合はバリフォーカルレンズと告知していたハズだけど、現代のレンズはズームレンズと謳いながら焦点距離を変化させると平気でピントが移動する。 『AF時代だからイイじゃない』と言うかも知れないけど、ちょっとズームしただけでピント位置が変動するのは気持ちが悪い。


ズームレンズ

CANON FD85-300mm F4.5 S.S.C. は「ほぼ」ズームレンズ
オートフォーカスが製品化される前は『ズームレンズで撮影するときはテレ端でピントを合わせてから目的の構図までワイド側にしなさい』なんて言われてたので、ズームレンズとバリフォーカルレンズとでは作法が全く違っていた。

もっともズームレンズと言ってもズーミングによる最良焦点位置の変動は存在し、当時の銀塩ピント規格なら問題ないという程度。 調整機構があるレンズの場合は工場でテレで合わせてワイドで合わせて...と追い込んだものです。 このピント位置調整は敏感なワイド側をきっちり合わせるのがポイントだった様な記憶がある。
(距離環ではテレ端の方が敏感ですが、内部の補正系調整ではワイド端の方が敏感だったりするって事です)

コンピューテーショナルズーム

SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS はコンピューテーショナルズーム
更に現代では焦点距離を変化させると、補正光学系を電動で移動させる「コンピューテーショナルズーム」になって来たので、パワーダウンしている最中にズームするとファインダー像が思いっきりボケる。 ただし、ミラーレスカメラが主流になるとパワーダウン中のファインダーは真っ暗けなので「そんなの関係ねぇ」という時代になってしまった。

SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS などは合焦後にズームするとピントずれを補正するために補正レンズを駆動させてるのが判る。 ズーム操作に対して補正レンズの駆動が遅れるためにファインダーを覗いていると気持ちが悪い。 気持ちが悪いだけなら我慢するけど、被写体が動体だった場合はズーム補正駆動と合焦駆動がかぶりつつ焦点検出も狂うので、動く被写体にピントなんて合わない。 コンピューテーショナルズームレンズはスポーツ撮影には不利だという事を知らない奴が開発したとしか思えませんな。

ちなみに、SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS でピントを合わせた状態でレンズを外し、所定位置にピント板を置いてズームによるピント変動を観察すると ボッケボケになるので、確かにコンピューテーショナルズームだと確信しています。

コンピューテーショナルズームは別として、バリフォーカルレンズだとテレ端でじっくりピントを合せたけど、チョットだけワイド側にしたい...なんて場合に、再度ピントを合せ直すのは面倒なんだなぁ。

でも、もう「バリフォーカルレンズ」なんていう呼称は死語だし「可変焦点レンズ」なんて言おうものなら若者に『あぁっ、ズームの事っすね?』と笑われる時代なのである...今日は飲むぞぉ。
Sponsored Link
Sponsored Link
Sponsored Link